熱中症

2009 年 6 月 29 日 · Filed in Let's 体力づくり, ◎お役立ち情報

熱中症とは、暑熱環境で発生する障害の総称で、熱失神、熱疲労(熱ひはい)、熱射病、熱けいれんに分けられます。スポーツによる熱中症事故は、適切に予防さえすれば防げるものです。

熱中症とは、体の中と外の「あつさ」によって引き起こされる、様々な体の不調であり、専門的には、「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」とされています。

熱中症は、次のような病型があります。スポーツで主に問題となるのは、熱疲労と熱射病です。

熱失神
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳血流が減少しておこるもので、めまい、失神などがみられる。顔面蒼白となって、脈は速く・弱くなる。
熱疲労
脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられる。
熱けいれん
大量に汗をかいたときに水だけしか補給しなかったため、血液の塩分濃度が低下して、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったけいれんがおこる。
熱射病
体温の上昇によって中枢機能に異常をきたした状態。意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり、死亡率が高い。

熱中症というと、暑い環境で起こるもの、という概念があるかと思われますが、スポーツや活動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、寒いとされる環境でも発生しうるものです。実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。また、運動開始から比較的短時間(30 分程度から)でも発症する例もみられます。

熱中症の予防

<メディカル・チェック>

スポーツ、運動を行う者は、必ず行っておくべきことです。
また、遠征や合宿に行く前には、メディカル・チェックをしておくことをすすめます。

  1. 一般的な健康診断
    (問診、理学所見、血液検査、尿検査、胸部X線、安静時心電図検査)
  2. 運動時における運動負荷試験
    (心電図をとりならがら運動するものです。)
  3. 必要に応じて、心エコー検査、長時間心電図など
    ※特に②の運動負荷試験は重要です。
<コンディショニング・チェック>

常日頃よりの健康管理は、熱中症の発生をくい止めるだけでなく、怪我などによる故障の発生などを少なくし、ひいては、運動をしている者のパフォーマンス・アップにつながります。

体重の確認

練習の前と後に体重を測り、表にしておく。翌日の練習前の体重測定時に、少なくとも減った分の80%は回復しているようにする。回復していなければ、水分補給が足らない、食事が確りとれていない、睡眠不足などの理由を考え、確りとるようにする。

睡眠状況

睡眠不足は熱中症を引き起こしやすく、また、疲労の蓄積、集中力の低下などによってケガなどを誘発させますので、睡眠時間や睡眠状況をチェックしておく必要があります。

怪我の把握

軽い怪我や故障を持ったまま運動をすると、通常より精神的にも体力的にも疲れる原因ですので、運動量のコントロール(通常より少なくする、故障しているところに負担のかからないものに変更する)や、運動を止めるといったことが必要となります。

その他

発熱、疲労、下痢(便通の状態)、二日酔い、貧血、循環器疾患なども原因となるので、チェックが必要です。

熱中症にかかりやすい条件
暑熱障害にかかりやすい者
  • 体力の弱い者(新入生や新人)
  • 肥満の者
  • 体調不良者
  • 暑熱馴化のできていない(暑さになれていない)者
  • 風邪など発熱している者
  • 怪我や故障している者
  • 暑熱障害になったことがある者
  • 性格的に、我慢強い、まじめ、引っ込み思案な者など
暑熱障害の増悪因子
  • 高齢者
  • 心疾患(冠状動脈疾患など)
  • 高血圧
  • アルコール中毒
  • 糖尿病
  • 発汗機能の低下者
  • 薬物(抗パーキンソン剤、抗コリン剤、抗ヒスタミン剤)
    汗腺障害
    強皮症

熱中症の起こりやすい環境や活動の条件
  • 前日までに比べ、急に気温が上がった場合
  • 梅雨明けをしたばかりの時
  • 気温はそれほどでなくとも、湿度が高い場合
  • (例: 気温20℃、湿度80%)

  • 活動場所が、アスファルトなどの人工面で覆われているところや草が生えていない裸地、砂の上などの場合
  • 普段の活動場所とは異なった場所での場合
  • (涼しいところから暑いところへなど)

  • 休み明け、練習の初日
  • 練習が連日続いた時の最終日前後
予防法のまとめとして
  • 環境条件を把握し、それに応じた運動、水分補給などを行う
    暑い時期の運動はなるべく涼しい時間帯に行うようにし、急な激しい運動を避け、休憩と水分補給を頻繁に行う必要があります。 また、クラブ活動、チームなど集団での活動の場合、強制的に水分補給ができる時間を設ける”強制飲水”という方法を行うべきと思います。その際、必ず個人に水分補給の仕方のレクチャーをしてあり、一人一人が自分にあった補給の仕方を知っている必要があります。注意として、個人が好きなときに自由に飲める”自由飲水”という方法のみということは避けるべきで、強制飲水と自由飲水の両方を併用して行なう方法が最善と考えられます。
  • 暑さに徐々に馴らしていく(暑熱馴化)
    熱中症は、7月下旬から8月上旬の梅雨明け直後に特に多く、また、夏季以外でも急に暑くなったときなどにも起こります。これは、体が暑熱環境や、体の発熱に馴れていないためで、急に暑くなったときなと゛は運動を軽くおさえ、体を暑さに少しずつ馴らしていく(馴化)必要があります。
  • 個人それぞれの条件を考慮する
    ましたが下痢、発熱、疲労などで体調の悪い者は、暑い中で運動してはいけないことがわかると思います。また、体力の低い者、肥満、暑さに馴れていない者は運動を軽減し、運動中は特に注意をする必要があります。
  • 服装に気をつける
    服装は軽装として暑さ寒さにあわせ、吸湿性や通気性のよい素材で、色合いも熱を吸収しないもの(白系統の色)にすると良いでしょう。直射日光は帽子で防ぐようにしてください。
    例えば、暑い場合は、白いメッシュ状に織り込んであり、速乾性の素材の半袖シャツに、短パンというような服装です。
  • 具合が悪くなった場合には、早めに運動を中止して、必要な手当をする
    指導・管理者などが、選手などを見るポイントとして、足の動きや運び、目の焦点、こちらの質問に確り反応できるか(質問は絶対に答えられるもので)の3点をチェック・ポイントとして判断の基準として下さい。もし、少しでもおかしいと判断したら、涼しいところで休憩させ、水分補給をさせてください。
熱中症予防8ヶ条
  1. 知って防ごう熱中症
  2. 暑いとき、無理な運動は事故のもと
  3. 急な暑さは要注意
  4. 失った水と塩分を取り戻そう
  5. 体重で知ろう健康と汗の量
  6. 薄着ルックでさわやかに
  7. 体調不良は事故のもと
  8. あわてるな、されど急ごう救急処置
水分補給の目安
運動強度
水分補給量のめやす
運動の種類
運動強度
持続時間
競技前
競技中
トラック競技
バスケット
サッカーなど
75〜100%
1時間以内
250〜500ml
500〜1000ml
マラソン
野球など
50〜90%
1〜3時間
250〜500ml
500〜1000ml
(1時間ごとに)
ウルトラマラソン
トライアスロン
など
30〜70%
3時間以上
250〜500ml
500〜1000ml
(1時間ごとに必ず塩分を補給)
注意
  1. 温度条件によって変化しますが、発汗による体重減少の70〜80%の補給を目標とします。
  2. 気温のとくに高いときには15〜30分ごとに飲水休憩をとることによって、体温の上昇がいくぶん抑えられます。
  3. 水温は5〜15℃が理想的です。
  4. 口当たりがよく飲みやすいものを飲みましょう。0.2%程度の食塩と5%程度の糖分を含んだものが適当です。
熱中症になったら
熱失神、熱疲労の場合

涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分を補給すれば通常は回復します。
足を高くし、手足を抹消から中心部に向けてマッサージするのも有効です。
吐き気やおう吐などで水分補給できない場合は、病院で点滴を受ける必要があります。

熱けいれんの場合

生理食塩水(0.9%)を補給すれば、通常は回復します。

熱射病の場合

死亡する可能性の高い緊急事態です。体を冷やしながら、集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での処置が重要です。
体温を下げるには、水をかけたり濡れタオルを当てて扇ぐ方法、頚、脇の下、足の付けねなど太い血管のある部分に氷やアイスパックをあてる方法が効果的です。
循環が悪い場合は、足を高くし、マッサージをします。