スタティクストレッチング

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

運動生理学-トレーニング-

はじめに

(徳島県トレーナー協会 鴨島病院リハビリテーション部 田村 靖明)
トレッチング(stretching)とは「伸ばす」または「引っ張る」という意味であり、医学的分野においては、筋や腱組織の自動的(自分で動かすこと)、または他動的(他人が動かすこと)な伸張法の総称として用いられている。ストレッチングは、大まかに動的なストレッチングと静的なストレッチングに分けることが出来る。表題である『スタティックストレッチング』とは静的なストレッチングに分類されるものであり、ほとんどのスポーツ現場で準備運動や整理運動として活用されている。

ストレッチングの種類
動的ストレッチング 静的ストレッチング
  • スタティックストレッチング
  • PNFストレッチング(一部)
  • IDストレッチング
  • バリスティックストレッチング
  • PNFストレッチング(一部)
  • IDダイナミックストレッチング

しかし現場では、誤った方法で行われているストレッチングがよく見かけられる。ストレッチングは方法を誤ると、かえって筋の緊張を高めたり、筋組織を部分 的に損傷してしまう危険性がある。したがって、安全で効果的に筋や腱組織を伸張していくためには、ストレッチングをきちんと理解したうえで慎重に実践して いくことが大切である。

ここでは、数あるストレッチングの種類から、スポーツ現場以外にも広い範囲で行われている『スタティックストレッチング』に注目して、その方法や注意事項、効果等を概説する。

ストレッチングの特徴

伸張反射が起きにくく、筋肉痛になりにくい。
最も安全に伸張運動を行えることができ、柔軟性の改善効果が得られやすい。

スタティックストレッチングの目的

トレーニングの実施にともなって、主に以下のような変化が身体に生じる。
  1. 筋緊張の低下(血液循環改善、筋のリラクゼーションが得られる。)
  2. 柔軟性の改善(関節可動域の改善)
  3. 血液循環の改善(局所循環が促進される)
  4. 疲労回復促進
  5. 競技パフォーマンスの改善
  6. 障害予防

パフォーマンスの改善・障害予防に関して最近の研究では

パフォーマンスの改善に関して
  1. ふくらはぎの筋肉にたいするスタティックストレッチング後、その筋の等尺性収縮が低下し、その低下が60分経っても回復しなかったと報告(Fowles, et al)している。
  2. 膝・股関節の伸展筋に対するスタティックストレッチングによって、カウンタームーブメントジャンプ(反動をつけたジャンプ)とスタティックジャンプ(スクワット姿勢からのジャンプ)のジャンプ高が減少したことも示されている(Cornwell,et al.)。
障害予防に関して
  1. 陸軍兵士にトレーニングを12週間実施させて、運動前にスタティックストレッチンングを下肢にする群と上肢にする群とで下肢の障害発生率を比較した研究では、ほぼ変わらないという結果が出ました(Pope, et al.)。
以上のことを踏まえてスポーツとスタティックストレッチングを考えると
ウォームアップのストレッチングとしては

筋、関節、神経系を刺激することにより関節可動域を拡げ、パフォーマンスを向上させるために行われなければならない。このような観点から動的なストレッチングが適していると考えられる。一方、スタティックストレッチングはウォームアップの初期段階で、選手の自己管理とコンディショニング・チェックとして行うとよい。

クールダウンにおけるストレッチングでは

筋緊張を緩和し、疲労物質を除去し、短縮した筋をトレーニング前の状態に戻すことが重要である。したがって伸張反射の起きにくいスタティックストレッチングが適している。

筋力トレーニングの方法

  1. 体温を上昇させてからリラックス下で行う
    施行前に軽いランニングなどを行い、全身の血液循環を活発にしておくことで、より大きな柔軟性が得られる。(寝起きは体が硬いのはこのためであると考えられる)
  2. リズミカルな呼吸
    普通の呼吸または腹式呼吸(鼻から吸って口から細長く息を吐く)
    呼吸を止めるのは逆に筋を緊張させる。
  3. 反動をつけないでゆっくりと
    レジスタンストレーニングの初期 (4週間前後) では、運動単位の増加による神経系の変化により、筋力が増大する。その後、継続してトレ—ニングすること (1-3ヶ月) で筋肥大が生じ、一層の筋力が増大する。
スタティクトレーニングの実際

スタティクトレーニングの実際