レジスタンストレーニング

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

運動生理学-トレーニング-

レジスタンストレーニングの基礎

(徳島大学 総合科学部 助教授 三浦哉 )
レジスタンストレーニングとは、バーベル、ダンベル、マシンなどを利用したウェイトトレーニング、ラバーチューブなどを用いたストレングストレーニングなどの総称である。いずれの方法でも、筋に抵抗を加えることは共通であり、生体に抵抗 (レジスタンス) を加えるトレーニングのためレジスタンストレーニングと呼ばれている。このトレーニングは、オフシーズンのみならずインシーズンにおいても、ジュニアから成人の競技選手は実施している。そこで本稿では、このレジスタンストレーニングの基礎について概説する。

レジスタンストレーニングの必要性

競技力に力、スピード、パワーの要素が直接関与する種目ではレジスタンストレーニングは欠かせない。特にウェイトリフティング、陸上の短距離・投擲選手などのハイパワーを必要とする種目は、レジスタンストレーニングによる筋力、パワーの向上は競技力と密接に関連する。サッカー、バスケットボールなどのミドルパワー種目ではボール獲得あるいはボールを奪われないため走力、相手との接触などのためにレジスタンストレーニングが重要となる。陸上の長距離種目などのローパワー種目であっても、筋持久力の向上のためにレジスタンストレーニングが必要となる。このように競技力向上のためにこのトレーニングは必要不可欠であるが、筋力の左右のバランス、主動筋と拮抗筋のバランス、関節まわりの筋、靭帯、腱を強化し、障害の予防・再発防止のためにもレジスタンストレーニングは重要である。

レジスタンストレーニングの効果

トレーニングの実施にともなって、主に以下のような変化が身体に生じる。
  1. 筋の肥大
    長期間にわたるトレーニングの実施により、筋肉量の増加 (筋肥大) が生じる。これは筋を構成している筋線維の肥大、筋線維をとりまく結合組織の肥厚、筋線維の増殖によってもたらされる。
  2. 神経系の変化
    レジスタンストレーニングの初期に生じる変化であるが、筋力を発揮する際に運動単位 (注1) の数が増加し、運動単位の興奮のタイミングの同期化および筋線維の収縮の同期化から効果的な筋力発揮をもたらすようになる。
  3. エネルギー供給能力の変化
    トレーニング中に動員されるエネルギー供給機構によって、無酸素性・有酸素性のエネルギー供給能力が改善する。

トレーニングの原則

実際にレジスタンストレーニングを実施する場合、以下の6つの原則が重要となる。
  1. 過負荷 (オーバーロード) の原則
    筋力向上のためには、通常筋肉に負荷している以上の抵抗を与える必要がある。つまり、実際の競技で発揮している張力以上の抵抗を外的に負荷することで筋力の増大につながる
  2. 漸増性負荷の原則
    過負荷の原則に従い通常以上の負荷を与えても、次第に適応 (その負荷になれる) してくるために、さらに強い負荷を与えないと一層の筋力の向上にながらない。したがって、一定の期間ごとに抵抗負荷の設定を変える必要がある。
  3. 継続性の原則
    トレーニングによる効果は、継続しなくなると減少する (可逆性) ため、定期的に実施しなければ効果を維持できない。
  4. 意識性の原則
    トレーニング中にどこの筋肉を収縮させているかということを、意識することで著しい効果が生じる。
  5. 特異性の原則
    上半身にトレーニング効果を求めるのであれば、下肢ではなく上半身のトレーニングに特化しなければいけない。このように、目的の種目、動作に応じてトレーニングする部位、種目を選択する必要がある。
  6. 個別性の原則
    個々の能力に個人差があるため、左右、上半身・下半身の筋力のバランスといった一人一人の特長に応じたプログラムを作成しなければ、効果が期待できない。

筋力トレーニングの方法

  1. 負荷・反復回数
    トレーニング時の負荷は、個人の最大筋力を測定 (本事業で実施している筋力測定) し、表1に示すような目的に応じて負荷を設定する。一般的に、筋力の向上および筋肥大を目的で実施する場合は、最大筋力の80-85%の強度で、8-10 回の反復を、また、筋持久力の向上を目的とする場合は、50-60%の強度で20回前後の反復を繰り返すことが必要である。

    表1. トレーニング負荷の目安および反復回数
    トレーニングの目的
    負荷(最大筋力に対する負荷の割合)
    反復回数
    筋持久力の向上
    50 – 59%
    20-25回
    筋の肥大
    60 – 85%
    10-24回
    筋力の向上
    86 – 100%
    1-9回
  2. 頻度
    レジスタンストレーニングでは、大きなストレスが筋に負荷されるために、筋線維の損傷が生じる。このような筋線維損傷の修復、疲労の回復のためにも1日間隔、1週間に3-4回程度の頻度が薦められる。また、最大筋力の80%以上の強度でトレーニングする場合は、より長い回復期間が必要となるために、1週間に1-2回程度の頻度となる。
  3. 期間
    レジスタンストレーニングの初期 (4週間前後) では、運動単位の増加による神経系の変化により、筋力が増大する。その後、継続してトレ—ニングすること (1-3ヶ月) で筋肥大が生じ、一層の筋力が増大する。