足関節

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

ア 足関節靱帯損傷

(症状・原因など)
  • ほとんどが、内反(足関節の内がえし強制)による外側靱帯損傷です。前距腓靱帯は外側靱帯の中でも常に最初に損傷される靱帯です。腫脹、皮下出血、圧痛などであり、受傷時の断裂音を聞くこともあります。
(対処・処置法)
  • 受傷時にR.I.C.E.処置を正しく行うことが重要です。すなわち、安静(rest)、冷却(icing)、圧追(compression)、高挙 (elevation)処置です。中等度以上(腫脹がある)の損傷にはギブス固定を要します。ギプス固定は3〜6週間行い、約3カ月の間は再発予防のため スポーツ時にはサポーターの使用、またはテーピングを行います。

イ アキレス腱断裂

(症状・原因など)
  • アキレス腱断裂は、ジャンプ、ダッシュ、ターンなどの動作によってアキレス腱に強い力が加わることで起こります。断裂の瞬間は「ボールが当たった」「後ろから蹴られた」ように感じ、痛みが生じます。
(対処・処置法)
  • アキレス腱断裂の治療には、手術をする手術的治療と手術をしない保存的治療があります。このうち、後者の保存的治療では長期の固定や免荷(体重をかけられ ない状態の事)を必要とし、筋力や関節の可動域の回復にはかなりの時間を要します。このためできるだけ早くスポーツ復帰できるように、手術的治療を行うのが整形外科施設(95%以上)が多いようです。

ウ アキレス腱炎

(症状・原因など)
  • ふくらはぎの筋と踵骨をつなぐ厚い腱の部分(アキレス腱)に起った炎症です。痛みは運動することにより起り、腱周辺が腫れてきます。さらに悪化すると発赤がでてきます。腱を触るとゴロゴロしたりすれるような感じがします。さらに進行すると腱が硬くなり、うずくような感覚です。腱が変性を起こし、触ると痛みが増強します。
    ※ ここまで来ると日常でも階段を上がったり、上り坂でも痛みがあります。
  • 使いすぎが最も大きな原因です。特に腓腹筋、ヒラメ筋のストレッチ不足(伸展性の低下)が原因でハイアーチや過回内足の解剖学的異常によるものです。すり減った靴、底が硬い靴などを使用、アップ不足によるもの、外気温の低下などが考えられます。
(予防法として)
  1. 腓腹筋-アキレス腱の筋力強化とストレッチ
  2. 疼痛部位のアイスマッサージ
  3. 靴の紐を強く結びすぎない。
  4. 脚長差を見直し、筋力プログラムを再検討する。
  5. シューズを見直す。
    などが考えられます。
(治療法として)
  1. ストレッチを念入りにする。
  2. 腓腹筋、ヒラメ筋の硬結、緊張を見逃さない。
  3. 低周波や針による筋パルスを行う場合、リズミカルに痛みが出ないように行う。
  4. 注意腱が硬結してくると痛みが和らぐので気をつけて観察。
    いずれにしても、専門医の診察を受けるのが望ましいと考えられます。

エ 足首間接捻挫

(症状・原因など)
  • ねんざとは、関節の可動限界(動かせるいっぱいの範囲)を超えた力が加わることで、関節がねじれたり、関節を固定する結合組織が伸び過ぎたり、断裂することで起きます。
  • 靭帯の損傷が大きいと、手術をしなければいけないケースもあります。

ねんざの重さは、以下の3つに分けられます。

第1度)
  • ごく一部の靭帯線維の断裂で、軽度の腫脹と圧痛があります。
第2度)
  • 部分断裂:靭帯の断裂は不完全で関節の不安定性はほとんどありませんが、広い範囲の腫脹と圧痛があります。
第3度)
  • 完全断裂:さらに強い腫脹と圧痛があり、関節の不安定性(ゆるみ)がみられます。関節にストレスをかけてX線撮影をおこなったり、関節に造影剤を注射して診断します。

素人判断はせず、軽いねんざと思っても医師の判断を仰いだ方が良いでしょう。

(対処・処置法)
  • 受傷したら、すぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
  • 炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)と捻挫再発予防のためのスキルを行い、受傷前の筋力に近付けるようなプログラムを組みます。
  • 競技復帰をあせって十分な治療を怠ると、再発を繰り返したり(くせになる)後遺障害が残ったりするケースもあるため、適切な処置を受けることが必要です。そして時には将来の事を考えて、思いきった休養をとりましょう。

オ 関節が痛む

関節の外側が痛む→内反ねんざ・関節の内側が痛む→外反ねんざ

(対処・処置法)
  • 受傷したらすぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
    受傷直後に応急処置のテーピングをほどこす時には、患部を全て覆ってはいけません。必ず足の甲やすねの部分はテープを巻かず、腫れを逃がす場所を作っておきます。そうでないと腫れた部分への圧迫によって痛みがひどくなったり、血行障害が起きたりするおそれがあるからです。
  • 以下のような二次的機能障害が起こることがよくあるので、炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)のプログラムを組み、足関節まわりの筋肉を強化します。
    1. 足関節周囲の筋力低下
      捻挫した後、ギブスや包帯などで固定して運動を制限すると、疼痛は減少しますが、足関節周囲の筋力低下が起こり、歩行時や走行時に疲れがたまりやすくなり、痛みがでます。
    2. 足関節の不安定性
      捻挫後に靱帯が損傷し、足関節部にゆるみが出現することにより、歩行時に負担がかかり、痛みが出現し、捻挫の習慣化につながります。
    3. 足間接可動域の制限
      ギプスの固定などで患部を安静にすることで、足関節部の可動域が制限されてしまいます。そうなると足関節が不安定な状態になり、歩行時等に痛みが出現したり、下腿部や大腿部、時には腰部にも痛みがでてくる事があります。

カ 腰背部

  1. 腰部捻挫
  2. 脊椎分離症
  3. 脊柱分離・辷り症
  4. 腰椎椎間板ヘルニア
  5. 棘突起骨折・横突起骨折
  6. 腰部椎間板・腰部椎間板間接症

キ 骨盤・大腿部

<下前腸骨棘裂離(剥離)骨折>
  • (症状・原因など)
    • 発育期のサッカーによくみられる骨折として、裂離(剥離)骨折があります。
      発育期の骨格は成長過程で力学的に弱い部位があり、筋肉や靭帯の断裂が起こることは少なく、裂離骨折を起こすことが多くなります。筋付着骨端部(apophysis)は股関節周辺では大転子を除き12歳頃から骨端核が出現し、25歳ぐらいまでに骨端線は閉鎖しますが、それまでは力学的に弱く、骨端部に付着している筋肉の強力な収縮によって裂離骨折が起こります。
    • 上、下前腸骨棘、坐骨結節、大腿骨小転子の裂離骨折は、スポーツ中に突然、ビシッといった音(骨折音)を感じると共に、股関節に激痛が出現することが多く、起立や歩行ができなくなります。損傷が軽ければ、すぐに歩行可能となりますが、圧痛は持続します。普通、歩行困難は続き、上、下前腸骨棘の裂離骨折では股関節を曲げたままとなり(股関節屈曲位)、伸ばすと強い痛みがあり、逆に、坐骨結節の裂離骨折では股関節を伸ばし、膝を曲げたままとなります(股関節伸展・膝関節屈曲位)が、痛みは軽いことが多く、すぐにびっこ歩行(跛行)できるようになります。
    • 原則的に股関節周辺の裂離骨折は保存療法で、初期は安静臥床、冷却を行い、筋肉による牽引力がかからない姿勢(肢位)をとらせます。裂離骨折部の圧痛のみの軽症例では、普通に歩行させてもかまいませんが、転位や局所の腫れ(腫脹)の大きいものでは、痛み(疼痛)や腫脹が強い間は安静臥床や松葉杖歩行となります。多くは3週間程度で他動による可動域訓練を中心にしたリハビリテーションを始め、1カ月程度で普通生活が出来るようになりますが、再発もあり、4〜6週で軽いスポーツより始め、完全なスポーツ復帰までには2〜3カ月かかります。
    • 下前腸骨棘の裂離骨折では大きな転位を起こすことはまれですが、上前腸骨棘や坐骨結節の裂離骨折で、2㎝以上の転位の大きなものでは手術することもあります。
    • 脛骨粗面の裂離骨折は、14〜19歳のジャンプした時、幅跳びや跳び箱の着地の時にバランスを崩して転倒し、膝関節部に骨折音を感じ、膝の伸展が不能となり、歩行困難となります。膝蓋骨のやや下方の腫脹と圧痛があり、指で押すと骨折部がこすれ合う音(軋轢音)を感じます。
    • 受傷後、膝を伸ばしたまま(膝伸展位)、大腿より踵まで副木をあてて運び(図5)、手術後約4週間、膝伸展位でギプス固定し、スポーツへの復帰まで3カ月以上かかります。
<大腿部筋損傷(大腿四頭筋・ハムストリングス)>
  • (症状・原因など)
    • 大腿部の肉離れは、急激なダッシュ、トップスピードでのターン、ストップなど大腿部の筋を強く収縮することにより、筋や筋膜が断裂し、発赤、腫脹、圧痛、運動痛などの症状がみられます。大腿部の筋の中でも、股関節の屈曲、膝関節の伸展を行う大腿直筋や股関節の伸展、膝関節の屈曲を行うハムストリング(大腿屈筋群)などの二関節筋によくみられます。
    • 大腿四頭筋の中では大腿直筋の肉離れがほとんどで、予測しない急激な外力など、衝突した時に、膝関節の屈曲を強いられ、かつ股関節の伸展されるような外力が加わった時に、これに抵抗するために筋を強く収縮し、この筋力が外力に打ち勝てずに筋損傷が起こります。また、急激なジャンプやダッシュなど、外力が作用しない時でも、筋の疲労や筋力のアンバランス、技術の未熟などの要因が加わって起こることもあります。
    • ハムストリングの肉離れは、半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋長頭に起きやすく、ランニング中やスピードや走法が変化するダッシュ時など、遊脚期や蹴り出しの時に股関節を伸展しながら、膝関節を伸展する時にいろいろな要因も加わって起こります。
    • 大腿部の肉離れの発症にはさまざまな要因があり、これを回避することにより予防することができます。
  • (発症要因として)
    1. 筋の疲労
    2. 筋力不足
    3. 筋力のアンバランス(大腿四頭筋とハムストリングの筋力)
    4. 筋の柔軟性の不足
    5. 筋収縮の協応性不調
    6. 悪いフォーム
    7. 技術の未熟
    8. ウォーミングアップ不足
    9. 外気温(過度の低温、高温)
    10. 多量の発汗によるミネラルの喪失などがあげられます。