肩関節

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

ア 肩関節脱臼

(症状など)
  • 肩関節は人体のすべての関節の中で最も脱臼を生じやすい関節であり、肩関節外転、外旋、伸展位で前方へ脱臼する場合が多く(約 95%)、ラグビーなどのコンタクトスポーツに起因するものが多くみられます。
(対処・処置法)
  • 脱臼の整復は比較的容易であるが、治療上重要となるのは脱臼に合併する骨折、腋窩神経 麻痺、特に壮年から高齢者においては腱板断裂の合併の有無、若年者においては下関節上腕靱帯損傷の合併の有無がその予後に影響するため、合併症の診断と治 療が特に重要となります。必ずレントゲン検査を受け、骨折の確認や専門医による神経障害、血流傷害がないか診断を受ける必要があります。

イ 肩鎖関節損傷

(症状など)
  • 柔道やラグビーなどのコンタクト・スポーツで、地面で肩を直接打った場合に起きやすい損傷です。
  • 肩鎖関節部に疼痛を生じ、腕の挙上ができなくなるのが症状ですが、中等度(亜脱臼)以上の損傷では鎖骨外側端が上方に突出した変形を呈し、指で押すと沈み込む浮動感を触知します
(対処・処置法)
  • 変形のない軽度損傷では2〜3週間の三角巾固定のみで十分です。中等度(亜脱臼)損傷例では絆創膏固定(鎖骨を押さえ、かっ肘を引き上げるように絆創膏をあてる)を6週間行います。完全脱臼例に対しては、一般的に若年者の場合、手術治療が行われます。

ウ 野球肘・テニス肘

<野球肘>
  • 野球肘と呼ばれるものの中には、外側の障害のほかに、内側、後側、前側の障害があります。最も多く見られる内側骨端部(筋起始部)の障害は、投球動作によって同部に繰り返し加わる牽引力によって、炎症、骨端の閉鎖遅延、離開(リトルリーグ肘)を生じるものです。
  • またオスグッド病と同様に、骨端の一部が剥がれる(裂離する)場合があります。裂離した骨片は早期であれば癒合するが、進行すると癒合は期待できなくなります(この場合、手術が必要となることもあります)。
<テニス肘>
  • テニス肘の原因としては、フォームが原因であることが多くみられます。治療してもフォームを改良しないかぎり必ず再発します。
[ストロークが原因のもの]
  • バックハンドテニス肘
    • 肘の外側(手を伸ばして手のひらを上にしたときの親指側)が痛みます。圧迫痛と運動痛があります。指をそらせると痛むときは相当悪いと思われます。ボールを打つ瞬間に手首を内側(手のひら側)に返して、その反動でバックハンドを打つと、肘の外側の前腕伸筋群が強い伸びと収縮を受けて腱の部分にストレスがかかります。その繰り返しで腱に微細な断裂が起きると痛みが発生します。
  • フォアハンドテニス肘
    • 肘の内側(手を伸ばして手のひらを上にしたときの小指側)が痛みます。指を曲げると痛むときは相当悪いと思われます。ボールを打つ瞬間に手首を後ろに反らして、その反動でラケットヘッドを前に動かすようにボールを打っていると、前腕屈筋群の付け根の腱がダメージを受けます。
  • フォームについてはいずれも手首をぐらぐらさせるフォームが原因です。手首は固定するフォームが正しいです。
[サーブが原因のもの]
  • テニスのサーブは、野球の投球動作と似ています。ゆえに野球肘と同様の障害を起こす可能性を持っています。尺骨の先端は、ひじを伸ばしたときに上腕骨とぶつかることで肘が必要以上に曲がらないようにブロックしています。サーブのインパクトまたはフォロースルーの段階で肘が伸びきると、ふたつの骨が急激に衝突して炎症を起こし痛みが生じます。
(対処方法)
  • フォーム
    • インパクトのときに腕が一直線になるフォームは必ず肘を痛める。
    • インパクトのときでも、ある程度の肘の曲がりをキープするようにする。 上半身の力を抜いてサーブする。
  • 練習内容
    • ストレッチ・ウォーミングアップ・マッサージ
    • 練習量を減らす

エ 肘関節脱臼

(症状など)
  • 肘関節脱臼は前方脱臼と後方脱臼と側方脱臼とに分かれます。大半が後方脱臼です。肘を伸ばして、手をついて転倒した際に、肘が過伸展され(伸び過ぎて)肘頭が支点となり脱臼が発生します。症状は痛みや腫れで、変形や上肢の短縮(腕の長さが短くなる状態)、運動障害を認めます。診断にはレントゲン検査が不可欠です。
(対処・処置法)
  • 治療は保存的治療(手術しない方法)が原則で徒手整復術が行われます。徒手整復は無麻酔で行う事もありますが、整復操作を容易にするために麻酔(腕神経叢麻酔や静脈麻酔など)を用いて腕の筋肉の緊張を取り除き整復します。受傷後早期に来院されれば整復は容易です。整復後は数週間ギプス固定を行います。リハビリテショーンは出来る限り早期に関節可動域訓練や筋力強化訓練をすることになります。
  • しかし、陳旧例(時間が経過した症例)や骨折を合併した症例では往々にして手術による整復術が必要となります。従って、出来るだけ早期の整形外科専門医への受診をお勧めします