STEP3 〜運営〜

クラブという組織をマネジメントし、クラブを地域に根づかせる段階

STEP3 〜運営〜

1.組織づくり(運営スタッフ・指導体制)

会員のニーズにきめ細かく対応するためには、質の高いスポーツ指導者や、活動運営スタッフをクラブにできるだけ多く配置することが必要です。総合型地域スポーツクラブは、地域の方々が支え育成していくクラブです。従来より運営するスタッフや指導者は、本業をもちつつ、ボランティアとして活動している人たらがほとんどです。このため会員それぞれが有する技能や趣味をどう運営に生かし、地区体協や体育指導委員、スポーツ少年団や学校教員の参画を得ることで、いかに指導体制を充実させることができるかが重要なポイントとなります。総合型スポーツクラブでは、運営管理者と指導者の役割を分けています。優れた指導者であることと優れた経営者であることとは必ずしも−致しないものです。クラブマネジャーに求められる資質は,地域に貢献でさる経営者としての資質であり、クラブマネジャーは経営に関する高い能力と広範な視野を必要とします。

■クラブマネジャーに求められる資質「5つの能力」は

  1. 「現状を把握する」能力
  2. 「説明する」能力
  3. 「コミュニケーション」能力
  4. 「調整する」能力
  5. 「事務処理をする」能力 
2.活動拠点の確保

安定的にクラブ運営を行うためには、安定的に活動できる拠点施設を確保することです。

総合型地域スポーツクラブは、様々な人々が集う空間です。それは拠点施設としてハードがつくり出す空間ではありますが、住民のスポーツ欲求を満たすスポーツ事業が展開される空間であり、また、地域の様々な人々のコミュニケーション空間でもあります。スポーツ施設の他にクラブ運営や社交的活動の場としてのクラブハウスが必要です。

拠点なる施設やクラブハウスは、現在総合型地域スポーツクラブに入っていない地域住民に対し、クラブについての情報を発信する場でもあります。

地域に使われていない公共施設や学校体育施設など地域で眠っている場所はないでしょうか。

■拠点施設の機能

  1. スポーツ活動を充足する機能(公共スポーツ施設、学校体育施設)
  2. 地域住民のコミュニケーションを充足する機能(クラブハウス)
  3. 住民の生涯学習を保証する機能(将来的には)

クラブハウスには、クラブ経営の拠点としての機能やクラブの情報の発信・集約拠点としての機能も望まれます。

3.プログラムの設定

会員や、会員以外の地域住民の立場から見た場合に、魅力的なクラブであることが前提になります。

単に形だけ整えたとしても、「これまでとあまり変わらない」といった声が出ないように、常にそのプログラムの見直しや改善には力を入れる必要がります。

  1. 主とするスポーツ活動
  2. レクリエーション活動
  3. 体力テスト
  4. 野外活動
  5. 社会活動

などの多様な活動プログラムが考えられます。

多様な活動プログラムによって、運動や遊びを通して、スポーツと出会う場が多様に提供されます。これらのプログラムを、実際に四季を通して行う場合、「指導者」「会員」いっしょになって、活動の連携を図り、作り上げていくことが重要です。このような実践方法を多様に考えることができるのも総合型地域スポーツクラブの特徴です。

4.財源確保

総合型地域スポーツクラブの財源には、「会費」「事業収入」「寄付」「受託(委託)」「助成・補助」といった財源確保の方法が考えられます。

会費収入を基本としつつも、常にアンテナを高く掲げ、多様な資金調達についての情報の入手につとめることが大切です。

安定した運営を図るにはとくにも欠くにも、地域住民の理解が得られることが重要です。地域住民の理解が得られなければ会員も増え続けることはありません。そのためにも会員・地域住民・地域組織とのコミュニケーションを図り、クラブを取り巻く人々のニーズや要望を理解しなければなりません。

5.情報発信

広報活動はたくさんの人と関係をもつこと、つなぎ合わせることです。クラブの広報は、会員向けの意図と地域社会への広報の2面性があることを理解しましょう。

(1) 対象者を理解する

性別、年代、ライフスタイルなどをイメージすると必要な情報がより具体的になります。

(2) 手元の情報を洗い流す

何事も現状把握が肝心です。関係者の持っている情報など、どんな情報があるか洗い出します。

(3) メディアを選択

テレビ、DM、折込広告、POP、インターネット、ポストイン、雑誌、いろんなメディアが考えられるが企画の内容や特性に応じて選択することが重要です。

広報の例(5W2Hを盛り込む)

  • WHY  事業の魅力や意味
  • WHO  誰が行うか、誰が参加できるのか
  • WHAT  内容
  • WHEN  期日
  • WHERE  場所
  • HOW  参加方法
  • HOW MUCH  参加費
6.評価と目標の確認

クラブの公益性、透明性を高めるためにも、年間報告書の作成を行い、1年間の活動を自己評価し、次年度の活動につなげること、すなわち、Plan – Do – Seeの最後の評価をしっかり行っていくことが、外からの評価にもつながり、スポーツの社会的ポジションを向上させることにつながります。

そのための手法としてマネジメント・サイクルを理解しましょう。

management

マネジメントサイクルとは、仕事を進める上で、計画(Plan)−実行(Do)−評価(Check)を繰り返し行うことで、反省点や成果を次の仕事に活かそうという考え方です。

■基本的な経営条件のチェック項目例

[1]目標・方針

  1. 目標は、抽象的なものから努力目標や事業計画が立案できるものまで、階層的かつ具体的に明示されているか?
  2. 目標は、あらゆる活動の拠り所となるものになっているか?
  3. クラブや組織の維持発展に関する方針やビジョンが描かれているか?
  4. 目標達成のための具体的な経営戦略が明示されているか?
  5. 事業性(費用対効果など)、社会的責任について配慮されているか?
  6. 決定された方針・戦略は、クラブ運営スタッフ、また会員の共通理解を得ているか?

[2]計画・コントロール

  1. 目標に準じて、各事業計画、資金計画などの部分計画が立てられているか?
  2. 目標と各計画は矛盾がないか?
  3. 各計画には、評価基準となる到達目標(数量化できる)があるか?
  4. 各計画は、過去の資料や類似施設、関係団体の実績などの二次的資料が活かされているか?
  5. クラブ会員の参加やアイディアの収集と反映がなされているか?
  6. 会員の事業参画や会員の創造性や創意工夫を活かすための配慮がなされているか?

[3]事業計画

  1. 地域における環境や住民の意識の分析など、様々なデータに基づき事業計画が立てられているか?
  2. 長期的な発展や成長計画の中で各事業が位置づけられているか?
  3. 戦略に応じた事業開発や工夫はなされているか?
  4. クラブ会員の評価が把握されるような仕組みが計画にあるか?
  5. 様々な条件下にある事業に対し、適切な対応ができるようになっているか?

[4]組織

  1. 責任と権限は明確に規定されているか?
  2. 対象者の数やレベルに応じた指導者やスタッフの配置となっているか?
  3. 有給指導者、ボランティア指導者・スタッフの構成比、またその活用に問題はないか?
  4. 予期せぬ事態や例外があっても臨機応変に、また弾力的に対応できるようになっているか?
  5. 指導者やスタッフの資質に問題はないか?

[5]マーケティング

  1. クラブ会員の意見と組織維持との相対的な評価に基づき、会費が設定されているか?
  2. 受益者負担の原則がクラブ会員間に浸透しているか?
  3. 各計画には、評価基準となる到達目標(数量化できる)があるか?
  4. クラブの収支構造、収益構造は適正か?

(平成16年度 徳島県クラブマネジャー要請講習会 徳島大学 総合科学部 長積 仁氏より)

7.NPO法人化

総合型地域スポーツクラブの実施主体がNPO法人を取得することは、社会的信用を得るための1つの方法です。各種補助金や事業委託などを受ける際には有利な条件になります。

NPOは、英語のNon-Profit Organizationの略で、ボランティア団体や市民活動団体などの「民間非営利組織」を広く指します。つまり、株式会社などの営利企業とは違って、「利益追求のためではなく、社会的な使命(ミッション)の実現を目指して活動する組織や団体」のことです。

■NPO法人の活動範囲は次の17分野に限られます。

 一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
 二 社会教育の推進を図る活動
 三 まちづくりの推進を図る活動
 四 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
 五 環境の保全を図る活動
 六 災害救援活動
 七 地域安全活動
 八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
 九 国際協力の活動
 十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
 十一 子どもの健全育成を図る活動
 十二 情報化社会の発展を図る活動
 十三 科学技術の振興を図る活動
 十四 経済活動の活性化を図る活動
 十五 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
 十六 消費者の保護を図る活動
 十七 前各号に掲げる活動を行う団体の運営
    又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

総合型地域スポーツクラブは4番目の学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動にあてはまるとされますが総合型スポーツクラブにとってほかの分野もまったく関係ないものでもありません。

安定した経営と社会的信用をえるためにも将来的にはNPO法人取得も視野にいれてみてはどうでしょうか。

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