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スポーツ医科学

2009 年 6 月 29 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

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頭部・頸部
肩関節
手関節・手指
膝関節
足関節

参考文責:第33回トレーニング指導士養成講習会テキスト

運動生理学-トレーニング-

頭部・頸部

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

ア 脳震盪

(症状など)
  • 頭部を打って一時的に意識の無くなった状態を脳震盪といいます。脳震盪はしばらくして意識が回復、その後は後遺症を起こさず元通りもなります。しかしながら頭を打って脳に傷ができたり(脳挫傷)、脳の中に出血が起こっている(外傷性脳内出血)時にも脳震盪と同じように意識が一時的に無くなり、やがて回復することがあります。
(対処・処置法)
  • 脳震盪といって軽く考えていると、実は脳挫傷や脳内出血があり取り返しのつかなくなってしまうこともあります。始めに意識を無くした子を観察して呼吸が荒かったりけいれんを起こしてる場合には、直ちに救急車の出動を要請してください。それほどでないときでも安静にして病院へ連れていってください。
  • 病院ではCT、MRI検査で脳に傷や出血があるかどうかわかります。一時的な意識消失、つまり脳挫傷であればしばらく安静にして帰ることができます。脳に障害がある場合は、運動はしばらくの間無理でしょう。練習復帰には専門の先生とよく相談してください。
(予防法)
  • 頭部打撲による脳震盪、頭部外傷の予防法として、なによりもヘルメットやヘッドギアなどの防具を必ず着用することです。また粗暴なプレーも事故のもとになるので、ルールを守ったプレーを行うことも事故の予防には大事なことです。

イ 頚椎損傷

(症状など)
  • 背骨の間には脊髄という大事な神経(中枢神経)が通っていて、脳からの指令を手足に伝えたり、逆に手足で感じたことを脳に伝える(もちろん他にも働きはありますが)という重大な役割を担っています。そのため、堅い背骨に守られています。特に首の部分の脊髄を頚髄といいますが、頸椎を損傷すると多くの場合、その中を通る頚髄に傷を付けてしまいます。そのため、骨がくっついても、その後にいろいろな不自由が残ってしまうのです。中枢神経と呼ばれる脳や脊髄は再生しないと言われています。
(対処・処置法)
  • 損傷の程度は、受傷時の状態と初期の取り扱いで決定されてしまうため、脳震盪など意識障害等が見られる場合は、すぐに体や頭をゆすったりしないで症状を見極めることが重要です。

肩関節

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

ア 肩関節脱臼

(症状など)
  • 肩関節は人体のすべての関節の中で最も脱臼を生じやすい関節であり、肩関節外転、外旋、伸展位で前方へ脱臼する場合が多く(約 95%)、ラグビーなどのコンタクトスポーツに起因するものが多くみられます。
(対処・処置法)
  • 脱臼の整復は比較的容易であるが、治療上重要となるのは脱臼に合併する骨折、腋窩神経 麻痺、特に壮年から高齢者においては腱板断裂の合併の有無、若年者においては下関節上腕靱帯損傷の合併の有無がその予後に影響するため、合併症の診断と治 療が特に重要となります。必ずレントゲン検査を受け、骨折の確認や専門医による神経障害、血流傷害がないか診断を受ける必要があります。

イ 肩鎖関節損傷

(症状など)
  • 柔道やラグビーなどのコンタクト・スポーツで、地面で肩を直接打った場合に起きやすい損傷です。
  • 肩鎖関節部に疼痛を生じ、腕の挙上ができなくなるのが症状ですが、中等度(亜脱臼)以上の損傷では鎖骨外側端が上方に突出した変形を呈し、指で押すと沈み込む浮動感を触知します
(対処・処置法)
  • 変形のない軽度損傷では2〜3週間の三角巾固定のみで十分です。中等度(亜脱臼)損傷例では絆創膏固定(鎖骨を押さえ、かっ肘を引き上げるように絆創膏をあてる)を6週間行います。完全脱臼例に対しては、一般的に若年者の場合、手術治療が行われます。

ウ 野球肘・テニス肘

<野球肘>
  • 野球肘と呼ばれるものの中には、外側の障害のほかに、内側、後側、前側の障害があります。最も多く見られる内側骨端部(筋起始部)の障害は、投球動作によって同部に繰り返し加わる牽引力によって、炎症、骨端の閉鎖遅延、離開(リトルリーグ肘)を生じるものです。
  • またオスグッド病と同様に、骨端の一部が剥がれる(裂離する)場合があります。裂離した骨片は早期であれば癒合するが、進行すると癒合は期待できなくなります(この場合、手術が必要となることもあります)。
<テニス肘>
  • テニス肘の原因としては、フォームが原因であることが多くみられます。治療してもフォームを改良しないかぎり必ず再発します。
[ストロークが原因のもの]
  • バックハンドテニス肘
    • 肘の外側(手を伸ばして手のひらを上にしたときの親指側)が痛みます。圧迫痛と運動痛があります。指をそらせると痛むときは相当悪いと思われます。ボールを打つ瞬間に手首を内側(手のひら側)に返して、その反動でバックハンドを打つと、肘の外側の前腕伸筋群が強い伸びと収縮を受けて腱の部分にストレスがかかります。その繰り返しで腱に微細な断裂が起きると痛みが発生します。
  • フォアハンドテニス肘
    • 肘の内側(手を伸ばして手のひらを上にしたときの小指側)が痛みます。指を曲げると痛むときは相当悪いと思われます。ボールを打つ瞬間に手首を後ろに反らして、その反動でラケットヘッドを前に動かすようにボールを打っていると、前腕屈筋群の付け根の腱がダメージを受けます。
  • フォームについてはいずれも手首をぐらぐらさせるフォームが原因です。手首は固定するフォームが正しいです。
[サーブが原因のもの]
  • テニスのサーブは、野球の投球動作と似ています。ゆえに野球肘と同様の障害を起こす可能性を持っています。尺骨の先端は、ひじを伸ばしたときに上腕骨とぶつかることで肘が必要以上に曲がらないようにブロックしています。サーブのインパクトまたはフォロースルーの段階で肘が伸びきると、ふたつの骨が急激に衝突して炎症を起こし痛みが生じます。
(対処方法)
  • フォーム
    • インパクトのときに腕が一直線になるフォームは必ず肘を痛める。
    • インパクトのときでも、ある程度の肘の曲がりをキープするようにする。 上半身の力を抜いてサーブする。
  • 練習内容
    • ストレッチ・ウォーミングアップ・マッサージ
    • 練習量を減らす

エ 肘関節脱臼

(症状など)
  • 肘関節脱臼は前方脱臼と後方脱臼と側方脱臼とに分かれます。大半が後方脱臼です。肘を伸ばして、手をついて転倒した際に、肘が過伸展され(伸び過ぎて)肘頭が支点となり脱臼が発生します。症状は痛みや腫れで、変形や上肢の短縮(腕の長さが短くなる状態)、運動障害を認めます。診断にはレントゲン検査が不可欠です。
(対処・処置法)
  • 治療は保存的治療(手術しない方法)が原則で徒手整復術が行われます。徒手整復は無麻酔で行う事もありますが、整復操作を容易にするために麻酔(腕神経叢麻酔や静脈麻酔など)を用いて腕の筋肉の緊張を取り除き整復します。受傷後早期に来院されれば整復は容易です。整復後は数週間ギプス固定を行います。リハビリテショーンは出来る限り早期に関節可動域訓練や筋力強化訓練をすることになります。
  • しかし、陳旧例(時間が経過した症例)や骨折を合併した症例では往々にして手術による整復術が必要となります。従って、出来るだけ早期の整形外科専門医への受診をお勧めします

手関節・手指

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

ア 舟状骨骨折

(症状など)
  • 骨折の中で、最もよく見受けられる骨折です。転倒した際に手首の背屈(手首の反り)が強制され、有頭骨と橈骨茎状突起が衝突して骨折が発生します。転位(ずれ)のない症例(安定型骨折)と転位を認める症例(不安定型骨折)とに分かれます。
  • 症状は手首の痛み(snuff box:親指側で手首に凹みのある所の痛み)で、捻挫と思い放置されやすい症状です。握力の低下や運動障害を認められ、診断にはレントゲン検査が不可欠です。
  • 月状軟化症状(月状骨無腐性壊死・キーンベック病)や三角線維軟骨障害なども手首の捻挫と勘違いされやすい傷害です。

イ 突き指

突き指はスポーツ活動や日常生活動作の中でよく起こる外傷(ケガ)の一つです。一般的に、単なる指の捻挫と思われがちですが、中には腱の断裂や骨折、脱臼を伴うものもあり、早期に適切な診断と治療を施さないと後遺症(関節の痛み、運動障害、不安定性)を残し、後日問題となります。
代表的な疾患としてPIP関節(指先から数えて第二番目の関節)に発生するPIP関節脱臼骨折と、DIP関節(指先から数えて第一番目の関節)に発生するマレットフィンガーを紹介します。

<PIP関節脱臼骨折>
  • (症状など)
    • 突き指の際に、PIP関節(指先から数えて第二番目の関節)が過伸展(無理に反らされた状態)や軽度屈曲(少し曲がった状態)で長軸方向に外力が働いて発生します。PIP関節脱臼骨折は背側脱臼骨折と掌側脱臼骨折とに分かれます。大半が背側脱臼骨折です。
    • 症状はPIP関節の腫れや内出血、痛み、運動障害です。診断にはレントゲン検査が不可欠で、正確な側面像を写しだす事がポイントです。背側脱臼骨折は中節骨全体が背側に脱臼し、中節骨の掌側基部に三角形の骨片を認めます。逆に掌側脱臼骨折では中節骨全体が掌側に脱臼し、背側に骨片を認めます。
  • (対処・処置法)
    • 治療は徒手整復術を行います。不安定性がなければアルミニウム副子固定やギプス固定にて経過観察します。しかし、整復が困難な症例や骨片が大きい症例では経皮的なpinningによる整復術や骨接合術を行います。尚、固定期間やリハビリテーションは年齢や骨折のタイプ、固定方法によって症例ごとに判断されます。
<マレットフィンガー>
  • (症状など)
    • 突き指の際に、DIP関節(指先から数えて第一番目の関節)の過伸展(無理に反らされる状態)が強制されて骨折するタイプと、過屈曲(無理に曲げられる状態)が強制されて腱が断裂するタイプとに分かれます。いずれの場合も、DIP関節の屈曲変形(曲ったままで伸ばす事が出来ない状態)を認めます。骨折を有するマレットフィンガーではレントゲンにて剥離骨折を認めます。
  • (対処・処置法)
    • 治療はDIP関節を過伸展にして整復が得られればスプリント固定を6〜8週間行います。整復が困難な症例は経皮的なpinningによる整復術を行います。陳旧例(治療されずに放置された症例)の腱断裂では腱縫縮術や腱移植術を行います。尚、固定期間やリハビリテーションについては年齢や骨折のタイプ、固定方法によって症例ごとに判断されます。

ウ 手首・指のねんざ

<手首>

転倒した時に手首や指を痛めることがあります。

  • (対処・処置法)
    • すぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
    • 手首や指は日常生活でよく使う部分なので、無意識のうちに負荷のかかる動きをしてしまい、治りきらないうちにまた同じ場所を痛めてしまうことがよくあります。
    • 受傷後すぐに医者へかかれないような時には、割り箸などをそえ木代わりに用いて固定するのも良い方法でしょう。
      重度の手首のねんざは、骨折と区別が難しいので、必ず医師の診断を仰いで下さい。
<指>

指はねんざを起こしやすい部分です。特に親指は、衝撃によって靭帯のついている場所から骨折してしまうこともありますし、使用頻度が高いため「ねんざぐせ」がつきがちです。靭帯がゆるんで関節が不安定になったままだと、何度も同じ部分を痛めてしまうので、怪我を軽く見ないで、医師の診察を受けて下さい。

  • (対処・処置法)
    • 炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)のプログラムを組み、関節まわりの筋肉を強化します。

膝関節

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

ア 内側側副靱帯損傷

(症状・原因など)
  • スポーツなどにより下腿を外反制された時に起こり、スキー、アメリカンフットボール、柔道、ラグビーなどで多く発生します。損傷の程度により、靱帯の一部が切れるものから、完全断裂さらには内側損側副靱帯だけでなく、内側半月板や前十字靱帯まで切れるものもあります。膝内側の疼痛、可動域制限(膝完全伸展不能)、関節腫脹(中程度以上の損傷では関節内に血液が貯まってきます)、不安定性(完全に切れた場合に見られます)などです。
(対処・処置法)
  • 内側領側副靱帯単独損傷で、軽度(関節腫脹がない)で3週問の弾性包帯固定を行い、中程度以上の単独損傷であれば大腿より下腿果部までのギプス固定4〜6 週行います。固定中も大腿四頭筋セッテング、患肢挙上訓練を行い、筋萎縮を予防することが大切です。固定除去後は可動域訓練を行うとともに積極的に筋力強化訓練を行い、筋萎縮の回復に努めることが必要です。
  • 内側損側副靱帯損傷に他の損傷の合併する複合靱帯損傷の際には手術治療が必要となることが少なくありません。

イ 前十字靱帯損傷

(症状・原因など)
  • ジャンプの着地などで膝が内に入った(外反)というのが受傷機転として多いのですが、ジャンブして空中で切れたり、方向転換での捻り勤作で断裂することも少なくありません。原因となるスポーツはバスケットボール、スキー、バレーボール、サッカーなどです。受傷時の断裂音(プチッと音がしたとの訴え)、疼痛、関節腫脹(必発)などです。また、受傷時に膝がはずれたと感じることもあります。
(対処・処置法)
  • 軽微な部分断裂など特殊な場合を除き、ギブス固定などの保在治療は無効であり、前十字靱帯の形態およびその機能を取り戻すためには手術(靱帯再建術)が必要となります。しかし、前十字靱帯再建術は侵襲が大きな手術であり、術後リハビリテーションに長期間(6〜12カ月)かかるため、若年者で日常生活に支障があるか、スポーツ活動を積極的に望む場合が手術の適応と考えられています。

ウ 半月板損傷

(症状・原因など)
  • 重が負荷された状態で屈曲した膝関節に異常な回旋が加わると、半月板の一部が脛骨と大腿骨の間にはさまって損傷を受けることになります。自然治癒はあまり期待できず整形外科的治療が必要となります。

エ オスグッド病

(症状・原因など)
  • 発症は概ね10〜14歳です。膝蓋骨の少し下方の盛り上がったところ(脛骨結節)に痛みと腫れを生じます。膝を伸ばす動作は、大腿の前面にある大腿四頭 筋が収縮して、脛骨結節が引っ張られて起こります。しかし、この部分は成長期ではまだ軟骨の部分が多くて弱いため、繰り返し引っ張られることで骨や軟骨の一部が剥がれます。これが、オスグッド病です。
(対処・処置法)
  • 初期なら短期間スポーツ活動を一部制限するだけで治りますが、進むと一定期間局所の安静が必要となります。さらに進むと装具療法や、時には手術が必要となります。放置すると疼痛が成長終了後にも残ることがあります。

オ 鵞足炎

(症状・原因など)
  • 運動をすると、膝の内側の、お皿のやや下の部分が痛く、ゴリゴリした感じや、腫れをともなうことがあります。膝の内側には、大腿部から縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はくきん)、半腱様筋(はんけんようきん)のそれぞれの腱組織が、ひとまとまりになって付着しています。この部分を「鵞足」と呼んでいます。その「鵞足」の部分が、膝の屈伸をくりかえすことによってスネの骨の内側にこすれて炎症を起こし痛むのが、鵞足炎です。
  • 長距離走ランナーなど、長時間膝の屈伸をくりかえすスポーツを行う人に起こりやすいのが特徴です。また、X脚の人も、内側の靭帯と骨との摩擦が大きくなるため発症しやすいそうです。
(予防・処置法)
  • 予防と治療には、縫工筋、薄筋、半腱横筋のストレッチを行います。運動後にはアイシングをし、炎症をおさえます。

スタティクストレッチング

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

運動生理学-トレーニング-

はじめに

(徳島県トレーナー協会 鴨島病院リハビリテーション部 田村 靖明)
トレッチング(stretching)とは「伸ばす」または「引っ張る」という意味であり、医学的分野においては、筋や腱組織の自動的(自分で動かすこと)、または他動的(他人が動かすこと)な伸張法の総称として用いられている。ストレッチングは、大まかに動的なストレッチングと静的なストレッチングに分けることが出来る。表題である『スタティックストレッチング』とは静的なストレッチングに分類されるものであり、ほとんどのスポーツ現場で準備運動や整理運動として活用されている。

ストレッチングの種類
動的ストレッチング 静的ストレッチング
  • スタティックストレッチング
  • PNFストレッチング(一部)
  • IDストレッチング
  • バリスティックストレッチング
  • PNFストレッチング(一部)
  • IDダイナミックストレッチング

しかし現場では、誤った方法で行われているストレッチングがよく見かけられる。ストレッチングは方法を誤ると、かえって筋の緊張を高めたり、筋組織を部分 的に損傷してしまう危険性がある。したがって、安全で効果的に筋や腱組織を伸張していくためには、ストレッチングをきちんと理解したうえで慎重に実践して いくことが大切である。

ここでは、数あるストレッチングの種類から、スポーツ現場以外にも広い範囲で行われている『スタティックストレッチング』に注目して、その方法や注意事項、効果等を概説する。

ストレッチングの特徴

伸張反射が起きにくく、筋肉痛になりにくい。
最も安全に伸張運動を行えることができ、柔軟性の改善効果が得られやすい。

スタティックストレッチングの目的

トレーニングの実施にともなって、主に以下のような変化が身体に生じる。
  1. 筋緊張の低下(血液循環改善、筋のリラクゼーションが得られる。)
  2. 柔軟性の改善(関節可動域の改善)
  3. 血液循環の改善(局所循環が促進される)
  4. 疲労回復促進
  5. 競技パフォーマンスの改善
  6. 障害予防

パフォーマンスの改善・障害予防に関して最近の研究では

パフォーマンスの改善に関して
  1. ふくらはぎの筋肉にたいするスタティックストレッチング後、その筋の等尺性収縮が低下し、その低下が60分経っても回復しなかったと報告(Fowles, et al)している。
  2. 膝・股関節の伸展筋に対するスタティックストレッチングによって、カウンタームーブメントジャンプ(反動をつけたジャンプ)とスタティックジャンプ(スクワット姿勢からのジャンプ)のジャンプ高が減少したことも示されている(Cornwell,et al.)。
障害予防に関して
  1. 陸軍兵士にトレーニングを12週間実施させて、運動前にスタティックストレッチンングを下肢にする群と上肢にする群とで下肢の障害発生率を比較した研究では、ほぼ変わらないという結果が出ました(Pope, et al.)。
以上のことを踏まえてスポーツとスタティックストレッチングを考えると
ウォームアップのストレッチングとしては

筋、関節、神経系を刺激することにより関節可動域を拡げ、パフォーマンスを向上させるために行われなければならない。このような観点から動的なストレッチングが適していると考えられる。一方、スタティックストレッチングはウォームアップの初期段階で、選手の自己管理とコンディショニング・チェックとして行うとよい。

クールダウンにおけるストレッチングでは

筋緊張を緩和し、疲労物質を除去し、短縮した筋をトレーニング前の状態に戻すことが重要である。したがって伸張反射の起きにくいスタティックストレッチングが適している。

筋力トレーニングの方法

  1. 体温を上昇させてからリラックス下で行う
    施行前に軽いランニングなどを行い、全身の血液循環を活発にしておくことで、より大きな柔軟性が得られる。(寝起きは体が硬いのはこのためであると考えられる)
  2. リズミカルな呼吸
    普通の呼吸または腹式呼吸(鼻から吸って口から細長く息を吐く)
    呼吸を止めるのは逆に筋を緊張させる。
  3. 反動をつけないでゆっくりと
    レジスタンストレーニングの初期 (4週間前後) では、運動単位の増加による神経系の変化により、筋力が増大する。その後、継続してトレ—ニングすること (1-3ヶ月) で筋肥大が生じ、一層の筋力が増大する。
スタティクトレーニングの実際

スタティクトレーニングの実際

足関節

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

スポーツ障害-外傷と障害-

ア 足関節靱帯損傷

(症状・原因など)
  • ほとんどが、内反(足関節の内がえし強制)による外側靱帯損傷です。前距腓靱帯は外側靱帯の中でも常に最初に損傷される靱帯です。腫脹、皮下出血、圧痛などであり、受傷時の断裂音を聞くこともあります。
(対処・処置法)
  • 受傷時にR.I.C.E.処置を正しく行うことが重要です。すなわち、安静(rest)、冷却(icing)、圧追(compression)、高挙 (elevation)処置です。中等度以上(腫脹がある)の損傷にはギブス固定を要します。ギプス固定は3〜6週間行い、約3カ月の間は再発予防のため スポーツ時にはサポーターの使用、またはテーピングを行います。

イ アキレス腱断裂

(症状・原因など)
  • アキレス腱断裂は、ジャンプ、ダッシュ、ターンなどの動作によってアキレス腱に強い力が加わることで起こります。断裂の瞬間は「ボールが当たった」「後ろから蹴られた」ように感じ、痛みが生じます。
(対処・処置法)
  • アキレス腱断裂の治療には、手術をする手術的治療と手術をしない保存的治療があります。このうち、後者の保存的治療では長期の固定や免荷(体重をかけられ ない状態の事)を必要とし、筋力や関節の可動域の回復にはかなりの時間を要します。このためできるだけ早くスポーツ復帰できるように、手術的治療を行うのが整形外科施設(95%以上)が多いようです。

ウ アキレス腱炎

(症状・原因など)
  • ふくらはぎの筋と踵骨をつなぐ厚い腱の部分(アキレス腱)に起った炎症です。痛みは運動することにより起り、腱周辺が腫れてきます。さらに悪化すると発赤がでてきます。腱を触るとゴロゴロしたりすれるような感じがします。さらに進行すると腱が硬くなり、うずくような感覚です。腱が変性を起こし、触ると痛みが増強します。
    ※ ここまで来ると日常でも階段を上がったり、上り坂でも痛みがあります。
  • 使いすぎが最も大きな原因です。特に腓腹筋、ヒラメ筋のストレッチ不足(伸展性の低下)が原因でハイアーチや過回内足の解剖学的異常によるものです。すり減った靴、底が硬い靴などを使用、アップ不足によるもの、外気温の低下などが考えられます。
(予防法として)
  1. 腓腹筋-アキレス腱の筋力強化とストレッチ
  2. 疼痛部位のアイスマッサージ
  3. 靴の紐を強く結びすぎない。
  4. 脚長差を見直し、筋力プログラムを再検討する。
  5. シューズを見直す。
    などが考えられます。
(治療法として)
  1. ストレッチを念入りにする。
  2. 腓腹筋、ヒラメ筋の硬結、緊張を見逃さない。
  3. 低周波や針による筋パルスを行う場合、リズミカルに痛みが出ないように行う。
  4. 注意腱が硬結してくると痛みが和らぐので気をつけて観察。
    いずれにしても、専門医の診察を受けるのが望ましいと考えられます。

エ 足首間接捻挫

(症状・原因など)
  • ねんざとは、関節の可動限界(動かせるいっぱいの範囲)を超えた力が加わることで、関節がねじれたり、関節を固定する結合組織が伸び過ぎたり、断裂することで起きます。
  • 靭帯の損傷が大きいと、手術をしなければいけないケースもあります。

ねんざの重さは、以下の3つに分けられます。

第1度)
  • ごく一部の靭帯線維の断裂で、軽度の腫脹と圧痛があります。
第2度)
  • 部分断裂:靭帯の断裂は不完全で関節の不安定性はほとんどありませんが、広い範囲の腫脹と圧痛があります。
第3度)
  • 完全断裂:さらに強い腫脹と圧痛があり、関節の不安定性(ゆるみ)がみられます。関節にストレスをかけてX線撮影をおこなったり、関節に造影剤を注射して診断します。

素人判断はせず、軽いねんざと思っても医師の判断を仰いだ方が良いでしょう。

(対処・処置法)
  • 受傷したら、すぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
  • 炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)と捻挫再発予防のためのスキルを行い、受傷前の筋力に近付けるようなプログラムを組みます。
  • 競技復帰をあせって十分な治療を怠ると、再発を繰り返したり(くせになる)後遺障害が残ったりするケースもあるため、適切な処置を受けることが必要です。そして時には将来の事を考えて、思いきった休養をとりましょう。

オ 関節が痛む

関節の外側が痛む→内反ねんざ・関節の内側が痛む→外反ねんざ

(対処・処置法)
  • 受傷したらすぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
    受傷直後に応急処置のテーピングをほどこす時には、患部を全て覆ってはいけません。必ず足の甲やすねの部分はテープを巻かず、腫れを逃がす場所を作っておきます。そうでないと腫れた部分への圧迫によって痛みがひどくなったり、血行障害が起きたりするおそれがあるからです。
  • 以下のような二次的機能障害が起こることがよくあるので、炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)のプログラムを組み、足関節まわりの筋肉を強化します。
    1. 足関節周囲の筋力低下
      捻挫した後、ギブスや包帯などで固定して運動を制限すると、疼痛は減少しますが、足関節周囲の筋力低下が起こり、歩行時や走行時に疲れがたまりやすくなり、痛みがでます。
    2. 足関節の不安定性
      捻挫後に靱帯が損傷し、足関節部にゆるみが出現することにより、歩行時に負担がかかり、痛みが出現し、捻挫の習慣化につながります。
    3. 足間接可動域の制限
      ギプスの固定などで患部を安静にすることで、足関節部の可動域が制限されてしまいます。そうなると足関節が不安定な状態になり、歩行時等に痛みが出現したり、下腿部や大腿部、時には腰部にも痛みがでてくる事があります。

カ 腰背部

  1. 腰部捻挫
  2. 脊椎分離症
  3. 脊柱分離・辷り症
  4. 腰椎椎間板ヘルニア
  5. 棘突起骨折・横突起骨折
  6. 腰部椎間板・腰部椎間板間接症

キ 骨盤・大腿部

<下前腸骨棘裂離(剥離)骨折>
  • (症状・原因など)
    • 発育期のサッカーによくみられる骨折として、裂離(剥離)骨折があります。
      発育期の骨格は成長過程で力学的に弱い部位があり、筋肉や靭帯の断裂が起こることは少なく、裂離骨折を起こすことが多くなります。筋付着骨端部(apophysis)は股関節周辺では大転子を除き12歳頃から骨端核が出現し、25歳ぐらいまでに骨端線は閉鎖しますが、それまでは力学的に弱く、骨端部に付着している筋肉の強力な収縮によって裂離骨折が起こります。
    • 上、下前腸骨棘、坐骨結節、大腿骨小転子の裂離骨折は、スポーツ中に突然、ビシッといった音(骨折音)を感じると共に、股関節に激痛が出現することが多く、起立や歩行ができなくなります。損傷が軽ければ、すぐに歩行可能となりますが、圧痛は持続します。普通、歩行困難は続き、上、下前腸骨棘の裂離骨折では股関節を曲げたままとなり(股関節屈曲位)、伸ばすと強い痛みがあり、逆に、坐骨結節の裂離骨折では股関節を伸ばし、膝を曲げたままとなります(股関節伸展・膝関節屈曲位)が、痛みは軽いことが多く、すぐにびっこ歩行(跛行)できるようになります。
    • 原則的に股関節周辺の裂離骨折は保存療法で、初期は安静臥床、冷却を行い、筋肉による牽引力がかからない姿勢(肢位)をとらせます。裂離骨折部の圧痛のみの軽症例では、普通に歩行させてもかまいませんが、転位や局所の腫れ(腫脹)の大きいものでは、痛み(疼痛)や腫脹が強い間は安静臥床や松葉杖歩行となります。多くは3週間程度で他動による可動域訓練を中心にしたリハビリテーションを始め、1カ月程度で普通生活が出来るようになりますが、再発もあり、4〜6週で軽いスポーツより始め、完全なスポーツ復帰までには2〜3カ月かかります。
    • 下前腸骨棘の裂離骨折では大きな転位を起こすことはまれですが、上前腸骨棘や坐骨結節の裂離骨折で、2㎝以上の転位の大きなものでは手術することもあります。
    • 脛骨粗面の裂離骨折は、14〜19歳のジャンプした時、幅跳びや跳び箱の着地の時にバランスを崩して転倒し、膝関節部に骨折音を感じ、膝の伸展が不能となり、歩行困難となります。膝蓋骨のやや下方の腫脹と圧痛があり、指で押すと骨折部がこすれ合う音(軋轢音)を感じます。
    • 受傷後、膝を伸ばしたまま(膝伸展位)、大腿より踵まで副木をあてて運び(図5)、手術後約4週間、膝伸展位でギプス固定し、スポーツへの復帰まで3カ月以上かかります。
<大腿部筋損傷(大腿四頭筋・ハムストリングス)>
  • (症状・原因など)
    • 大腿部の肉離れは、急激なダッシュ、トップスピードでのターン、ストップなど大腿部の筋を強く収縮することにより、筋や筋膜が断裂し、発赤、腫脹、圧痛、運動痛などの症状がみられます。大腿部の筋の中でも、股関節の屈曲、膝関節の伸展を行う大腿直筋や股関節の伸展、膝関節の屈曲を行うハムストリング(大腿屈筋群)などの二関節筋によくみられます。
    • 大腿四頭筋の中では大腿直筋の肉離れがほとんどで、予測しない急激な外力など、衝突した時に、膝関節の屈曲を強いられ、かつ股関節の伸展されるような外力が加わった時に、これに抵抗するために筋を強く収縮し、この筋力が外力に打ち勝てずに筋損傷が起こります。また、急激なジャンプやダッシュなど、外力が作用しない時でも、筋の疲労や筋力のアンバランス、技術の未熟などの要因が加わって起こることもあります。
    • ハムストリングの肉離れは、半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋長頭に起きやすく、ランニング中やスピードや走法が変化するダッシュ時など、遊脚期や蹴り出しの時に股関節を伸展しながら、膝関節を伸展する時にいろいろな要因も加わって起こります。
    • 大腿部の肉離れの発症にはさまざまな要因があり、これを回避することにより予防することができます。
  • (発症要因として)
    1. 筋の疲労
    2. 筋力不足
    3. 筋力のアンバランス(大腿四頭筋とハムストリングの筋力)
    4. 筋の柔軟性の不足
    5. 筋収縮の協応性不調
    6. 悪いフォーム
    7. 技術の未熟
    8. ウォーミングアップ不足
    9. 外気温(過度の低温、高温)
    10. 多量の発汗によるミネラルの喪失などがあげられます。

持久力トレーニング

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

運動生理学-トレーニング-

AT(無酸素性作業閾値)の原理とトレーニングへの応用

<基本原理>

運動強度が低い場合、私たちは一般に有酸素的代謝過程 (酸素を利用してエネルギーを供給)による運動のためのエネルギー産生が中心となります。しかし、運動強度が増加していくと無酸素的代謝過程(酸素の関与なしでエネルギーを供給)が徐々に亢進し、ある運動強度の範囲を超えると急激に無酸素的代謝過程が増加します。このような急激に変化する地点の運動強度 (速度、ワット、酸素摂取量など) のことを無酸素性作業閾値 (AT) と呼びます。(図1)

このようにATが出現する地点は、無酸素的代謝産物である乳酸の生産が、乳酸の除去を上回るために、血液中の乳酸濃度の急激な増加がみられます。このように血中乳酸濃度の変化からATを算出する場合は乳酸性作業閾値(LT)と呼びます。また、乳酸蓄積にともない体内のpHが低下(体が酸性化) し、炭酸ガスを過剰に排出することで、換気量が亢進します。このように主に換気量などの呼吸機能の変化からATを算出する場合は換気性作業閾値(VT)と呼びます。
このATは最大酸素摂取量と同様に持久的能力の指標となります。したがって、有酸素性能力のトレーニング効果を評価する上で利用されています。

<トレーニングへの応用>

ATの指標は、前述した持久的能力の指標になる一方、個々人の適切な運動強度を設定する上で、従来の心拍数、あるいは酸素摂取量などを基準とした設定方法よりも有効な指標といわれています。
図Bは、AT(LT)レベルの異なる2選手の走速度と血中乳酸濃度との関係を示しています。陸上の長距離種目の練習の一つにペース走があるが、仮にA (□)、B (■) 両選手が毎分250mでペース走をする場合、A選手にとってはこのペースはLTレベルであり疲労があまりともなわずに長時間継続できるのに対して、B選手にとってはLTレベルを超えているために無酸素的代謝過程が亢進し、長時間の運動継続が困難となります。
また、毎分200mでペース走をするとB選手にとってはLTレベルに相当するものの、A選手にとっては運動強度が低すぎて適切な運動刺激となりません。同様のことはインターバルトレーニングの際の運動強度の設定にも当てはまり、従来の心拍数を基準にしたトレーニング、あるいは全員が均一の速度でトレーニングするのではなく、個々人の能力に応じてATレベルの+10-30%の運動強度を設定してトレーニングを実施するようになってきています。
現在、陸上競技、水泳競技などでは積極的にATを利用したトレーニングを実施しているが、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、ホッケーなどの球技系の選手にとってもトレーニングの運動強度を設定する上で有効と考えられます。したがって、今後、選手のATを測定し、トレーニングに利用していくことを強く希望します。

平成15年度フィットネスチェック事業報告書より
徳島大学 応用生理学研究室 三浦 哉

レジスタンストレーニング

2009 年 6 月 26 日 · Filed in ◎お役立ち情報, スポーツ医科学

運動生理学-トレーニング-

レジスタンストレーニングの基礎

(徳島大学 総合科学部 助教授 三浦哉 )
レジスタンストレーニングとは、バーベル、ダンベル、マシンなどを利用したウェイトトレーニング、ラバーチューブなどを用いたストレングストレーニングなどの総称である。いずれの方法でも、筋に抵抗を加えることは共通であり、生体に抵抗 (レジスタンス) を加えるトレーニングのためレジスタンストレーニングと呼ばれている。このトレーニングは、オフシーズンのみならずインシーズンにおいても、ジュニアから成人の競技選手は実施している。そこで本稿では、このレジスタンストレーニングの基礎について概説する。

レジスタンストレーニングの必要性

競技力に力、スピード、パワーの要素が直接関与する種目ではレジスタンストレーニングは欠かせない。特にウェイトリフティング、陸上の短距離・投擲選手などのハイパワーを必要とする種目は、レジスタンストレーニングによる筋力、パワーの向上は競技力と密接に関連する。サッカー、バスケットボールなどのミドルパワー種目ではボール獲得あるいはボールを奪われないため走力、相手との接触などのためにレジスタンストレーニングが重要となる。陸上の長距離種目などのローパワー種目であっても、筋持久力の向上のためにレジスタンストレーニングが必要となる。このように競技力向上のためにこのトレーニングは必要不可欠であるが、筋力の左右のバランス、主動筋と拮抗筋のバランス、関節まわりの筋、靭帯、腱を強化し、障害の予防・再発防止のためにもレジスタンストレーニングは重要である。

レジスタンストレーニングの効果

トレーニングの実施にともなって、主に以下のような変化が身体に生じる。
  1. 筋の肥大
    長期間にわたるトレーニングの実施により、筋肉量の増加 (筋肥大) が生じる。これは筋を構成している筋線維の肥大、筋線維をとりまく結合組織の肥厚、筋線維の増殖によってもたらされる。
  2. 神経系の変化
    レジスタンストレーニングの初期に生じる変化であるが、筋力を発揮する際に運動単位 (注1) の数が増加し、運動単位の興奮のタイミングの同期化および筋線維の収縮の同期化から効果的な筋力発揮をもたらすようになる。
  3. エネルギー供給能力の変化
    トレーニング中に動員されるエネルギー供給機構によって、無酸素性・有酸素性のエネルギー供給能力が改善する。

トレーニングの原則

実際にレジスタンストレーニングを実施する場合、以下の6つの原則が重要となる。
  1. 過負荷 (オーバーロード) の原則
    筋力向上のためには、通常筋肉に負荷している以上の抵抗を与える必要がある。つまり、実際の競技で発揮している張力以上の抵抗を外的に負荷することで筋力の増大につながる
  2. 漸増性負荷の原則
    過負荷の原則に従い通常以上の負荷を与えても、次第に適応 (その負荷になれる) してくるために、さらに強い負荷を与えないと一層の筋力の向上にながらない。したがって、一定の期間ごとに抵抗負荷の設定を変える必要がある。
  3. 継続性の原則
    トレーニングによる効果は、継続しなくなると減少する (可逆性) ため、定期的に実施しなければ効果を維持できない。
  4. 意識性の原則
    トレーニング中にどこの筋肉を収縮させているかということを、意識することで著しい効果が生じる。
  5. 特異性の原則
    上半身にトレーニング効果を求めるのであれば、下肢ではなく上半身のトレーニングに特化しなければいけない。このように、目的の種目、動作に応じてトレーニングする部位、種目を選択する必要がある。
  6. 個別性の原則
    個々の能力に個人差があるため、左右、上半身・下半身の筋力のバランスといった一人一人の特長に応じたプログラムを作成しなければ、効果が期待できない。

筋力トレーニングの方法

  1. 負荷・反復回数
    トレーニング時の負荷は、個人の最大筋力を測定 (本事業で実施している筋力測定) し、表1に示すような目的に応じて負荷を設定する。一般的に、筋力の向上および筋肥大を目的で実施する場合は、最大筋力の80-85%の強度で、8-10 回の反復を、また、筋持久力の向上を目的とする場合は、50-60%の強度で20回前後の反復を繰り返すことが必要である。

    表1. トレーニング負荷の目安および反復回数
    トレーニングの目的
    負荷(最大筋力に対する負荷の割合)
    反復回数
    筋持久力の向上
    50 – 59%
    20-25回
    筋の肥大
    60 – 85%
    10-24回
    筋力の向上
    86 – 100%
    1-9回
  2. 頻度
    レジスタンストレーニングでは、大きなストレスが筋に負荷されるために、筋線維の損傷が生じる。このような筋線維損傷の修復、疲労の回復のためにも1日間隔、1週間に3-4回程度の頻度が薦められる。また、最大筋力の80%以上の強度でトレーニングする場合は、より長い回復期間が必要となるために、1週間に1-2回程度の頻度となる。
  3. 期間
    レジスタンストレーニングの初期 (4週間前後) では、運動単位の増加による神経系の変化により、筋力が増大する。その後、継続してトレ—ニングすること (1-3ヶ月) で筋肥大が生じ、一層の筋力が増大する。